平成18年(常任)厚生委員会
 札幌市議会厚生委員会記録
           平成18年11月13日(月曜日)
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      開 会 午前10時

○村松正海 委員長  ただいまから、厚生委員会を開会いたします。
 報告事項でありますが、本日審査いたします陳情の提出者から資料の提出がありましたので、お手元に配付しております。
 それでは、議事に入ります。
 陳情第244号 国民健康保険料から国民健康保険税に移行し、国保財政の健全化と市民の各種税負担の公平化の促進を求める陳情を議題といたします。
 提出者から趣旨説明を受けるため、委員会を暫時休憩いたします。
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      休 憩 午前10時1分
      再 開 午前10時13分
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○村松正海 委員長  委員会を再開いたします。
 質疑を行います。

◆小野正美 委員  今、陳情者からいろいろとお話があって、その根幹に触れる前に、前提として2〜3の質問をまずしたいと思います。
 一つは、料方式と税方式の関係です。
 この点は、7〜8年前、介護保険導入の際にもいろいろな議論をした経験がございます。いわば、だれが、どこで、どれだけ支払っているかわからない税のもとで、お上といいますか、行政に措置される従来の方式から、保険料を払って、必要なときに権利として福祉サービスを利用するということでの保険方式ですか、こういった導入の意義を我々としても訴えてきたところなのです。
 ただ、税率をはっきりさせて目的税として徴収するという形にすれば一緒なのかなという気もするのですけれども、料方式あるいは税方式の違い、特に国民健康保険制度においてどのように規定されているのか、この点をまず最初にお聞きしたいと思います。

◎大居 保険医療担当部長  料方式と税方式の違いでありますけれども、国民健康保険法第76条では、保険者は、国民健康保険事業に要する費用に充てるため、世帯主から保険料を徴収しなければならない。ただし、地方税法の規定により国民健康保険税を課するときは、この限りでないと規定しておりまして、市町村は、保険料として徴収する料方式か、保険税として徴収する税方式かを選択することができる仕組みになっております。
 ここで、料方式と税方式の違いにつきましては、まず、料方式の場合は、保険料率は、決定後、速やかに告示することとされており、料率を条例に規定する必要はありませんが、税方式の場合は、保険税率を条例に規定しなければならないこと、また、保険料の所得割の算定方法の選択肢が、料方式の場合は5方式あるのに対し、税方式の場合は3方式であること、さらには、保険料の徴収権や還付請求権の消滅時効が、料方式の場合は2年であるのに対し、税方式は5年であることなどが主な違いでございます。

◆小野正美 委員  大きな違いとしては、税方式の場合は条例で規定しなければならない。つまり、新年度から適用していくとすれば、3月の予算議会あるいは4月早々の臨時議会などの際に規定をすることになるし、それから、議会で議決をするということで、保険者、担当市職員の緊張感が生まれるのではないかというようなことなどもあるかと思うのですが、告示にしても、決算にしても、それぞれ議会で議論もするし、公表しているわけです。こういった違いもあるのかなと思うのですが、いずれにしても、札幌市は料方式を採用しておりますので、その理由について明らかにしていただきたい。
 そして、他の政令市あるいは道内の市町村がどのようになっているのか、あるいは、その理由といいますか、背景などについても説明していただきたいと思います。

◎大居 保険医療担当部長  札幌市が料方式をとっている理由でございます。
 まず、第1に、国民健康保険制度は、社会保障の一環として、相互扶助の精神にのっとり、被用者保険に加入していない住民を対象として、病気、けがなどの場合に保険給付を行う社会保険制度でありますので、保険給付を受けることの反対給付として徴収されるのは保険料が基本であります。したがって、国民健康保険法第76条におきましても、国民健康保険事業を行うために必要な費用を保険料として徴収する料方式を本則としまして、保険税として徴収する税方式は例外として規定されていること。
 第2に、国保加入者にご負担いただく保険料は、医療費を賄うために必要な額を過不足なく適正に算出する必要があります。そのためには、加入者の所得などを把握することが重要でありますけれども、税方式の場合は、条例に税率を規定しなければならないので、料方式の場合より、早期にあらかじめ推計した所得金額に基づいて税率を決めざるを得ません。一方、料方式の場合は、保険料率は、決定後、速やかに告示することとされておりまして、条例規定事項ではないため、保険料を賦課する直前まで加入者の所得など必要な情報を取り込み、より最新のデータに基づいて料率を決定することができます。したがって、年度末から年度当初にかけて加入や脱退が多い本市においては、料方式を採用した方が医療費を賄うために保険料として必要な額と実際に賦課する保険料との乖離が少なく、過不足なく保険料を賦課するのに適していると判断されること、こういったことなどを総合的に勘案いたしまして料方式を採用してきたところでございます。
 なお、保険料収納事務において、徴収権の消滅時効の年数等に違いはあるものの、保険料であっても地方自治法上の市町村の収入には変わりがなく、強制徴収権が与えられておりまして、この面においては国民健康保険税とほぼ同じでございます。
 次に他都市の状況でございますけれども、まず、政令市ではさいたま市が、唯一、税方式をとっておりますが、他はいずれも本市と同じ料方式となっております。
 なお、さいたま市につきましては、合併前の自治体がすべて税方式を採用していたという事情があったということでございます。
 次に、道内で見ますと、料方式を採用している割合は、自治体の数では約13%、世帯数や被保険者数では約60%となっておりまして、旭川市や函館、釧路、帯広など比較的人口が多い市が料方式を採用しております。全体的に見ますと、比較的人口が少ない自治体は税方式をとっており、人口が多い自治体は料方式をとっているという傾向がございます。
 その理由といたしましては、年度末から年度当初にかけて加入者の移動が多い大都市においては、保険料を計算する基礎となる所得などのデータを保険料を賦課する直前まで取り込んで料率を決定することができるので、料方式の方が保険料を過不足なく賦課するのに適していること、また、政令市では所得割の計算方法として料方式のもとでしか採用できない計算方法であります市民税方式とか住民税方式を採用しているところがこれまで多かったことなどが考えられます。

◆小野正美 委員  札幌市が料方式を採用している理由とか、他の都市の傾向などについてもお聞きをしましたが、特に、保険料の算定において直近の情報を組み込めるとか、あるいは、4月に人口移動が結構多い大都市などでは、どうしても3月段階で条例を定めることが難しいという点なども含めて明らかにされました。
 そこで、陳情者の方から言われた事柄、あるいは、陳情の趣旨の根幹でありますけれども、問題は、国保の滞納額が多い、問題である、その対策が極めて手ぬるい、無策であると。しかも、時効が2年で、税方式にすれば5年となって3年も延びるではないか、さらに、条例で定めることによる保険者としての緊張感、あるいは、議会での議論などもできるのではないかというような事柄かと思うのです。
 今の社会保険庁の改革議論の中でも、税金や年金等の掛金なども、いわゆる徴収にかかわるところを一つにして歳入庁にしたらというような議論もあるわけです。しかし、実際にいろいろな税金、所得税あるいは住民税、ほかにもたくさん税金があります。保険料を税にしたとしても、その中で何を優先して徴収できるのか、あるいは、払う側としても、すべてに払えないとすれば、当然、どちらかを優先するといいますか、そういう場合に税を優先して払ってくれるのか、それとも対価が生じる保険を優先して払うのかとか、いろいろな問題があると思うのです。
 いずれにしても、料ではなく、税にして納税の義務という意識が生じるのか、あるいは、時効が2年から5年に延びれば収納率が伸びるのかというような点は、先ほど陳情者あるいは勝木委員とのやりとりの中でもありましたけれども、理事者側としてはどういうふうに考えているのか、この点を明らかにしていただきたい。

◎小川 国保収納対策担当部長  市町村の国保というのは、被用者保険等、他の公的医療機関に加入できない方が加入しております。これによりまして皆保険制度を支える基盤的役割を担っているわけでございますけれども、相互扶助の観点から、所得のない方にも保険料を負担していただくことになっておりまして、この点が税と大きく違うところでございます。
 国保に加入されている方の中には、会社の経営不振、倒産による失業、長期の療養を要する病気などで退職された方、あるいは、アルバイトで生活を支えている方など、生活基盤が安定せず、保険料の支払いが困難になっている方も大勢いらっしゃるわけでございます。このような場合は、納付相談によりまして個々の生活状況や納付資力を勘案しながら最大限の支払いを求めていくことになるわけでございますが、文書や電話、訪問による催告など、基本的に滞納整理は税と同じ方法で行っておりまして、現在でも、十分な収入がある、あるいは、資産調査の結果、納付資力があると判断されるような場合は、時効を中断して支払いを求める、あるいは、財産を差し押さえるなどの対応を行っているところでございまして、保険税に変更いたしまして5年間の請求権を行使したといたしましても収納率の改善に直接つながるものとは考えにくいのではないかというふうに思います。
 今後におきましても、収納率の向上に向けて最大限の努力を続けてまいります。

◆小野正美 委員  前提として、国保の性格といいますか、加入者の実態ですが、特に、札幌市の場合は低所得者の方が多いという状況の中で国保会計が維持されてきているということです。
 しかし、そうは言っても、陳情者が指摘するように、札幌市の収納状況、収納率が悪く、不納欠損が莫大なものになっていることは事実であります。もちろん、税方式をとっているさいたま市の収納率は、これは調べさせてもらいましたけれども、87.11%と、確かに札幌市の84.10%よりは多いわけです。しかし、料方式をとっている北九州市では93.01%と、必ずしも料が低くて税にすれば高くなるのかということは一概に言えないと思います。
 いずれにしても、札幌市としても、昨年度はようやくにして政令市で最下位を脱しました。一応、下から2番目ですけれども、改善をされてきている。特に保険サービス員など、中央区から始まって全区に配置してきている、そういった中での地道な取り組みとか、振替方式に切りかえていくという努力によって改善されてきているのかなという思いもいたしますので、料、税の議論はいろいろありますけれども、収納対策を強化することを当面の最大の課題として取り組んでいただきたいと思います。

○村松正海 委員長  ほかに質疑はございませんか。
 (「なし」と呼ぶ者あり)

○村松正海 委員長  なければ、質疑を終了いたします。
 それでは、取り扱いについてお諮りいたします。
 取り扱いは、いかがいたしましょうか。
 (「継続」と呼ぶ者あり)

○村松正海 委員長  それでは、陳情第244号を継続審査とすることにご異議ございませんか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○村松正海 委員長  異議なしと認め、陳情第244号は、継続審査と決定いたしました。
 以上で、委員会を閉会いたします。
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      閉 会 午前10時28分